ドン・ガルシ・ド・ナヴァール

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ドン・ガルシ・ド・ナヴァール またの名を嫉妬深い王子』(仏語原題:Dom Garcie de Navarre ou le Prince jaloux )は、モリエール戯曲。1661年発表。同年2月4日初演。

登場人物

  • ドン・ガルシー…ナヴァールの王子。エルヴィールの恋人。
  • エルヴィール…レオン王国の王女
  • エリーゼ…エルヴィールの侍女
  • ドン・アルフォンス…レオンの王子。自分はカスティーリャ王国の王子だと思っており、ドン・シルヴと名乗っている
  • イニェス…伯爵夫人。ドン・シルヴの恋人。マウレガートの寵愛を受けてレオン王国にいる。
  • ドン・アルヴァロ…ドン・ガルシーの親友。エリーゼの恋人。
  • ドン・ロープ…同上
  • ドン・ペドロ…イニェスの執事

あらすじ

ドン・ガルシーとドン・シルヴは恋敵であり、エルヴィールを巡って争っていた。彼女は2人から愛されていることに悩み苦しんだ末、ドン・ガルシーを選んだ。だが、ドン・ガルシーは何かにつけて嫉妬心をむき出しにするので、エルヴィールはその度に、弁明と潔白である証拠を彼に突き付けて納得させるなど、彼の嫉妬に手を焼くのであった。ところが、そうこうしているうちに、恋敵であったドン・シルヴはエルヴィールの実の兄であったことが判明する。恋を叶えることに成功したドン・ガルシーであった。

成立過程

1660年にパレ・ロワイヤルの使用権を獲得してから、初めて同所で公開された作品である。モリエールは本作を数年来の構想の末に完成させたようで、上演の前年である1660年に、すでに本作の印刷特許権を得ていることなどから、上演に向けて周到に準備をしていようである[1]

しかし観客の評判は大変悪く大失敗に終わったため、パレ・ロワイヤルでは早々に上演を打ち切った。しかし、宮廷においては1663年まで折に触れて上演しており、1662年には本作を出版しようとするなど、彼自身は本作に大変な愛着を持っていたようである[2][3]

本作の第4、5幕のセリフが、「人間嫌い」の第4幕にほとんど変更を加えずに転用されている[4]

日本語訳

  • 『ドン・ガルスィ・ド・ナヴァル -或る嫉妬深い王子-』恒川義夫訳、(モリエール全集 第三卷 所収)、中央公論社、1934年
  • 『ドン・ガルシ・ド・ナヴァール あるいは嫉妬深い王子』秋山伸子訳、(モリエール全集 2 所収)、臨川書店、2000年

脚注

  • 「白水社」は「モリエール名作集 1963年刊行版」、「筑摩書房」は「世界古典文学全集47 モリエール 1965年刊行版」。
  1. ^ Oeuvres de Moliere(ed des Grauds Ecrivains) P.220 la notice de D.G.
  2. ^ Ibid.
  3. ^ 筑摩書房 P.467
  4. ^ 筑摩書房 P.441
戯曲
1645年? 飛び医者 1650年? ル・バルブイエの嫉妬 1655年 粗忽者 1656年 恋人の喧嘩 1658年 恋する医者 1659年 才女気取り
1660年 スガナレル 1661年 ドン・ガルシ・ド・ナヴァール 1661年 亭主学校 1661年 はた迷惑な人たち 1662年 女房学校 1663年 グロ=ルネの嫉妬
1663年 女房学校批判 1663年 ヴェルサイユ即興劇 1664年 強制結婚 1664年 ぼうやのグロ=ルネ 1664年 エリード姫 1664年 タルチュフ
1665年 ドン・ジュアン 1665年 恋は医者 1666年 人間嫌い 1666年 いやいやながら医者にされ 1666年 メリセルト 1667年 パストラル・コミック
1667年 シチリア人 1668年 アンフィトリオン 1668年 ジョルジュ・ダンダン 1668年 守銭奴 1669年 プルソニャック氏 1670年 豪勢な恋人たち
1670年 町人貴族 1671年 プシシェ 1671年 スカパンの悪だくみ 1671年 エスカルバニャス伯爵夫人 1672年 女学者 1673年 病は気から
詩とソネ
1655年 相容れないものたちのバレエ 1655年 クリスチーヌ・ド・フランスに捧げる歌
1663年 国王陛下に捧げる感謝の詩 1664年 ご令息の死に際してラ・モット・ル・ヴァイエへ捧げるソネ
1665年 ノートルダム慈善信心協会の設立を記念する版画に付した詩 1668年 フランシュ=コンテを統治下に収められた国王陛下に捧げるソネ
1668年? ボーシャン氏のバレエのメロディーに付した詩 1669年 ヴァル・ド・グラース教会の天井画を称える詩
1671年? 美しいメロディーにのせた題韻詩
人物と関連項目
マドレーヌ・ベジャール アルマンド・ベジャール マルキーズ・デュ・パルク カトリーヌ・ド・ブリー ラ・グランジュ ミシェル・バロン ジャン=レオノール・グリマレ
盛名座 モリエール劇団 オテル・ド・ブルゴーニュ座 モリエールの医者諷刺 モリエール (列車)