DVCPRO

DVCPROは放送業務用デジタルビデオ規格の一つである。DV規格を基礎に松下電器産業(現・パナソニック)が開発、1996年に発表された。SMPTE 306M/307M/370M/371M、及びIEC 61834-1/-2においてD-7VTRとして標準化されている。現在はビデオカメラおよび録画・再生機器の生産は終了し、録画用テープのみ販売されている。パナソニックの放送業務用機はP2へ移行している。

カセット

中央がDVCPRO Mカセット。
左はDVCAM Lカセット、右はMiniDVカセット。

ソニーDVCAM規格、およびDV規格ではメタル蒸着型(ME)テープが用いられているがDVCPROでは耐摩耗性・信頼性を考慮した結果、メタル塗布型(MP)テープが選択されている。

外形寸法は次のとおり。Mカセットは大体Hi8カセットと同じ大きさである。また、MiniDVカセットは使用されない。

Mカセット 97.5×64.5×14.6mm
Lカセット 125×78×14.6mm
XLカセット 172×102×14.6mm

圧縮方式

DV圧縮をベースにしたDCT、マクロブロック構造、データシャッフリングなどを特徴とするイントラフレーム圧縮方式を採用している。

DVCPRO

パナソニック DVCPROレコーダー AJ-D455

1996年発売。映像信号をコンポーネントデジタル8bit、YCbCr 4:1:1でサンプリングし、フレーム毎に圧縮をかけて記録する。上位規格との区別のためにDVCPRO25の名称も使われる。

映像データレートはDVと同じく、約25Mbps。圧縮方式はNTSCではDV互換だが、PALにおいてはDV互換ではない(DV規格では、PALで記録する際にYCbCr 4:2:0が使用される)。録画時間は126分(Lカセット)、66分(Mカセット)。

音声は2チャンネル、サンプリングレートは48kHz/16bit。ボディが黒、リッドが黄色のカセットを使う。

DVCPRO50

パナソニックのDVCPRO50カメラレコーダー

1998年発売。映像信号をコンポーネントデジタル8bit、YCbCr 4:2:2(クロマサンプリング周波数を2倍)でサンプリングし、フレーム毎に圧縮をかけて記録する。

映像データレートは約50Mbpsで、DVCPRO規格の2倍。その結果、テープ速度も2倍になり録画時間は126分(XLカセット)、63分(Lカセット)、33分(Mカセット)となる。

音声は4チャンネル、サンプリングレートは48kHz/16bit。カセットはボディが黒、リッドが青。

DVCPRO HD

2000年発売。映像データレートをDVCPRO50のさらに倍にあたる約100Mbpsに高め1080/60i、1080/50i、720/60p、720/50pのHD映像の収録に対応した。映像信号は8bit コンポーネント。サンプリングはYCbCr 4:2:2と称されるが水平1280サンプリング記録であるため、他フォーマットと同等の比較をするのであれば2.7:1.3:1.3が実力値となる。1080/60iでは1280x1080ピクセル、1080/50iでは1440x1080ピクセル、720pでは960x720ピクセルで記録される。データレートの増大に応じてさらにテープスピードを速め、録画時間は63分(XLカセット)、32分(Lカセット)、16分(Mカセット)。

音声は8チャンネル、サンプリングレートは48kHz/16bit。カセットのボディは黒、リッドは赤。

特徴としては、720pモードにおける可変フレームレート記録が挙げられる。4〜60フレーム毎秒の範囲で、自由にフレームレートが設定できる。

撮影監督阪本善尚が開発に関与したDVCPRO HDカメラである"VARICAM"(AJ-HDC27F)は映画『突入せよ! あさま山荘事件』での現場初投入以降、高いプログレッシブ性能が評価され映画やCMの制作に良く使われている。

2012年ロンドンオリンピックの公式記録ビデオとして採用されている。

DVCPRO HD EX

2002年発売。DVCPRO HD-LP方式での倍密記録を実現しDVCPRO HDと同等の画質で記録時間を実現している。録画時間は126分(XLカセット)、64分(Lカセット)、33分(Mカセット)。

関連項目

外部リンク

  • デジタルVTR[リンク切れ] - パナソニックビジネスサイト
  • 表示
  • 編集
ビデオテープ
アナログ
  • 2インチ(1956)
  • VERA(英語版)(1958)
  • ソニー2インチヘリカルVTR(英語版)(1961)
  • Ampex 2 inch helical VTR(1962)
  • タイプA(英語版)(1965)
  • CV-2000(1965)
  • AKAI(英語版)(1967)
  • Uマチック(1969)
  • EIAJ-1(1969)
  • カートリビジョン(1972)
  • フィリップスVCR(英語版)(1972)
  • Vコード(1974)
  • VX(1974)
  • ベータマックス(1975)
  • IVC(英語版)(1975)
  • タイプB(英語版)(1976)
  • タイプC(1976)
  • VHS(1976)
  • VK(英語版)(1977)
  • SVR(英語版)(1979)
  • Video 2000(1980)
  • CVC(英語版)(1980)
  • M規格(1981)
  • VHS-C(1982)
  • BETACAM(1982)
  • 8ミリビデオ(1985)
  • MII(1986)
  • S-VHS(1987)
  • S-VHS-C(1987)
  • EDBeta(1987)
  • Hi8(1989)
  • Ruvi(1998)
デジタル
HD
ビデオディスク
アナログ
  • Phonovision(1927)
  • Ampex-HS(1967)
  • TeD(1975)
  • LD(1978)
  • CED(1981)
  • VHD(1983)
  • Laserfilm(1984)
  • CDビデオ(1987)
デジタル
HD
デジタル
メディア複数
  • DV(1995)
  • DVCPRO(1995)
  • DVCAM(1996)
  • DVCPRO50(1997)
  • DVCPRO HD(2000)
テープレス
  • Editcam(1995)
  • XDCAM(2003)
  • MOD(英語版)(2005)
  • AVCHD(2006)
  • AVC-Intra(2006)
  • TOD(2007)
  • iFrame(英語版)(2009)
  • XAVC (2012)
ソリッドステート
  • P2(2004)
  • SxS(英語版)(2007)
  • GF series(2008)
  • SR Memory(2011)
  • AXSメモリーカード(2013)
フィルム録画
  • Kinescope(1947)
  • Electronicam kinescope(1950代)
  • Electronic Video Recording(1967)