経済的発注量

経済的発注量(けいざいてきはっちゅうりょう、Economic Order Quantity または EOQ)とは、定量発注方式において、発注費用と在庫費用の総額を最小化する1回あたりの発注量のこと。経済発注量最経済発注量経済的ロットサイズともいわれる。

この手法は、F. W. Harrisにより1913年に考案され、R. H. Wilsonの研究によって進化していった。

概要

単一商品に対する経済的発注量は、次式で表される総在庫費用 C (Q ) を最小にする発注量 Q である。

C ( Q ) = E D Q + H Q 2 {\displaystyle C(Q)={E{\frac {D}{Q}}}+{H{\frac {Q}{2}}}}
(総在庫費用=発注費用+保管費用)

上式の因子は、次のとおりである。

D Q {\displaystyle {\frac {D}{Q}}} = 一定期間内の発注回数
Q 2 {\displaystyle {\frac {Q}{2}}} = 一定期間内の平均在庫量

用いられている変数と定数は、下記のとおりである。

  • Q = 発注量(変数)
  • D = 一定期間内の需要
  • E = 発注ごとに発生する発注費用 (単位あたりの費用ではない)
  • H = 一定期間内の単位あたり保管費用

このとき、経済的発注量の値 Q {\displaystyle Q^{*}} は、次式になる。

Q = 2 E D H {\displaystyle Q^{*}={\sqrt {\frac {2ED}{H}}}}

導出

C ( Q ) {\displaystyle C(Q)} を最小とする Q を求めるために、Q についての導関数を計算して、それを 0 とおく。

d C ( Q ) d Q = d d Q ( E D Q + H Q 2 ) = E D Q 2 + H 2 = 0 {\displaystyle {\frac {dC(Q)}{dQ}}={\frac {d}{dQ}}\left({\frac {ED}{Q}}+{\frac {HQ}{2}}\right)=-{\frac {ED}{Q^{2}}}+{\frac {H}{2}}=0}

これを Q について解くと、こうなる。

H 2 = E D Q 2 {\displaystyle {\frac {H}{2}}={\frac {ED}{Q^{2}}}}
Q 2 = 2 E D H {\displaystyle Q^{2}={\frac {2ED}{H}}}
Q = 2 E D H = Q {\displaystyle Q={\sqrt {\frac {2ED}{H}}}=Q^{*}}

なお、このときの総在庫費用は次式になる。

C ( Q ) = 2 E D H {\displaystyle C(Q^{*})={\sqrt {2EDH}}}

その他

便宜的に、H を次式で計算する方法もある。

H = PF

ここで、F は、在庫費用係数である。

  • F = 在庫費用係数(0〜1の範囲の係数を用い、通常は10〜15%とする)
典拠管理データベース: 国立図書館 ウィキデータを編集
  • スペイン