二塩化硫黄

二塩化硫黄
二塩化硫黄の分子モデル
別名 塩化硫黄(II)
組成式 SCl2
式量 102.97 g/mol
形状 赤色液体
CAS登録番号 [10545-99-0]
密度と相 1.6285 g/cm3, 液体 (15 ℃)[1]
融点 −78 °C
沸点 59 °C

二塩化硫黄(にえんかいおう)とは、硫黄塩素からなる。塩化硫黄(II)とも呼ばれる。Cl-S-Cl の構造を持つ分子で、硫黄上の結合角は 109.3 °。外見は赤色の液体である。

合成

一塩化硫黄に塩素を作用させると、二塩化硫黄に変わる。

S 2 Cl 2 + Cl 2 2 SCl 2 {\displaystyle {\ce {S2Cl2 + Cl2 -> 2SCl2}}}

この反応は塩化鉄(III)などのルイス酸に触媒される。また、平衡反応であるため、二塩化硫黄を放置すると、塩素を放出して一塩化硫黄に戻ってしまう。そのため、純度の高い二塩化硫黄を合成するときは、五塩化リンなどを安定剤として蒸留を行う。

反応

元素状や水素化物の硫黄と反応して、ポリスルフィド結合を持つ塩化物を作る。この反応は、ゴムの加硫に利用される。

SCl 2 + n S Cl S n + 1 Cl {\displaystyle {\ce {{SCl2}+{\mathit {n}}S->Cl-S_{{\mathit {n}}+1}-Cl}}}
2 SCl 2 + H 2 S 4 Cl S 6 Cl + 2 HCl {\displaystyle {\ce {2SCl2 + H2S4 -> Cl-S6-Cl + 2 HCl}}}

−80 ℃ にて塩素を作用させると、四塩化硫黄を生じる。この化合物は、−31 ℃ 以上で逆反応を起こして分解する。

SCl 2 + Cl 2 SCl 4 {\displaystyle {\ce {SCl2 + Cl2 -> SCl4}}}

三酸化硫黄と反応させると、塩化チオニルを与える。これは、塩化チオニルの工業的な合成法である。

SCl 2 + SO 3 SOCl 2 + SO 2 {\displaystyle {\ce {SCl2 + SO3 -> SOCl2 + SO2}}}

水とは、塩化水素を出しながら激しく反応する。

参考文献

  • Cotton, F. A.; Wilkinson, G. Adv. Inorg. Chem., 5th ed., Wiley, 1988, pp. 513.
  1. ^ Lowry, T. M.; Jessop, G. J. Chem. Soc. 1930, 1005 - 1015.

外部リンク

二元化合物
  • SBr2
  • SBr4
  • S2Br2
  • SCl2
  • SCl4
  • S2Cl2
  • SF2
  • SF4
  • SF6
  • S2F2
  • S2F4
  • S2F10
  • SO
  • SO2
  • SO3
  • S2O
三元化合物
  • H2SO3
  • H2SO4
  • H2SO5
  • H2S2O3
  • H2S2O4
  • H2S2O5
  • H2S2O6
  • H2S2O7
  • H2S2O8
  • NSF
  • NSF3
  • SOBr2
  • SOCl2
  • SOF2
  • SOF4
  • SO2Cl2
  • SO2F2
四元・五元化合物
  • HSCN
  • HSO3Cl
  • HSO3F
  • HSO3NH2
  • SO2ClF
  • SO2(NH2)2
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