レベッカ・ソルニット

レベッカ・ソルニット
レベッカ・ソルニット(左)と撮影監督のクリスチャン・ブルーノ(2010年)
誕生 (1961-06-24) 1961年6月24日(62歳)
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
カリフォルニア州
職業 著作家メモリストエッセイスト
最終学歴 カリフォルニア大学バークレー校
公式サイト rebeccasolnit.net
ウィキポータル 文学
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レベッカ・ソルニット英語: Rebecca Solnit , 1961年6月24日 - )は、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコ在住の著作家。環境、政治、芸術など幅広いテーマを取り上げている。

生い立ち

ソルニットはアメリカ合衆国カリフォルニア州ノヴァトで幼少期を過ごした。暴力が日常茶飯事の家庭で育ち、子供の頃に虐待を受けていたことを明かしている[1]。中学校時代に惨めな思いをして過ごしたため、GEDを受けて合格し、高校を完全にスキップした[2]フランスパリに17歳の時に留学した後はサンフランシスコ・ベイエリアに戻り[3]、最終的にサンフランシスコ州立大学を卒業した[4]

その後は1984年カリフォルニア大学バークレー校ジャーナリズム修士号を取得し[5]1988年からフリーランスのライターとして働くようになった[6]

経歴

活動

『Savage Dreams』で述べているようにソルニットは1980年代後半から環境問題人権問題に取り組んだ。1990年代初頭には「ウェスタン・ショショーニ族(英語版)の保護プロジェクト」に加わり、2001年以降は反戦運動に参加した[7]

ソルニットの著作は印刷物のみならず、ハーパーズ・マガジントム・エンゲルハート(英語版)が運営するウェブサイト「Tomdispatch.com」も含めたオンライン上でも多数確認することが出来る[8]

災害ユートピア』(2009年)は1989年のロマ・プリータ地震で被災した経験が契機となり、1906年のサンフランシスコ地震1917年のハリファックス大爆発、1985年のメキシコ地震、2001年の9・11テロ2005年のハリケーン・カトリーナなどを取材・研究して書かれたものであり、これらの災害時のいずれにおいても、人々が意外にも冷静に行動し、なおかつお互いに助け合う即席の「ユートピア」が形作られているという共通点を見出している[9]

自身の作品に影響を与えた人物としてエドゥアルド・ガレアーノパブロ・ネルーダガブリエル・ガルシア=マルケスヴァージニア・ウルフアリエル・ドーフマンエレナ・ポニアトウスカの名を挙げている[7]

評価

グッゲンハイム奨励金国立芸術基金(NEA)の2つの文学奨励金、ラナン文学賞(英語版)の文学奨励金を授与されている[10]

また、数多くある著作の中でもRiver of Shadows(英語版)2003年)が大変評価されており、全米批評家協会賞「批評部門」(2003年)[11]ハーバード大学が贈るマーク・リントン歴史賞(英語版)(2004年)を授与されている[12]

流行語

詳細は「マンスプレイニング」を参照

ソルニットは「マンスプレイニング」(Mansplaining)という有名なかばん語が発明されるきっかけを作ったと言われている。ロサンゼルス・タイムズが運営するウェブサイト上で2008年4月に公開された彼女のエッセイMen Explain Things to Me[13]」(『説教したがる男たち』)の中では、パーティー会場で声を掛けてきた男性が彼女が著者であることを知らずに、彼女の最新作の内容について得意げに彼女に解説してきたという体験談が紹介されている。このエッセイの内容は分かっているようなことを上からの物言いで男性から解説された経験がこれまでにある多くの女性から共感を呼び、その後にオンライン上ではこのような男を指す「マンスプレイニング」という言葉が生まれ、急速に広まっていった[14]

著書

  • Secret Exhibition: Six California Artists of the Cold War Era (1991年) (ISBN 978-0872862548)
  • A Book of Migrations: Some Passages in Ireland (1997年) (ISBN 978-1859848852)
  • Savage Dreams: A Journey Into the Landscape Wars of the American West (1999年) (ISBN 978-0520220669)
  • Wanderlust: A History of Walking (2000年) (ISBN 978-0670882090)
    • 『ウォークス 歩くことの精神史』東辻賢治郎訳、左右社 (2017年。ISBN 978-4865281385)
  • Hollow City: The Siege of San Francisco and the Crisis of American Urbanism (2001年) (ISBN 978-1859847947)
  • As Eve Said to the Serpent: On Landscape, Gender, and Art (2001年) (ISBN 978-0820322155)
  • River of Shadows: Eadweard Muybridge and the Technological Wild West(英語版) (2003年) (ISBN 978-0670031764)
  • A Field Guide to Getting Lost (2005年) (ISBN 978-0670034215)
    • 『迷うことについて』東辻賢治郎訳、左右社 (2019年。ISBN 978-4865282344)
  • Yosemite in Time: Ice Ages, Tree Clocks, Ghost Rivers (2005年) (ISBN 978-1595340160) - マーク・クレット(英語版)、バイロン・ウルフとの共著
  • Hope in the Dark: Untold Histories, Wild Possibilities (2005年) (ISBN 978-1560258285)
    • 『暗闇のなかの希望 非暴力からはじまる新しい時代』井上利男訳、七つ森書館 (2005年。ISBN 978-4822805968)
      • 増訂版『暗闇のなかの希望 語られない歴史、手つかずの可能性』井上利男・東辻賢治郎 訳、ちくま文庫(2023年。ISBN 9784480438270)
  • After the Ruins, 1906 and 2006: Rephotographing the San Francisco Earthquake and Fire (2006年) (ISBN 978-0520245563) - マーク・クレット、ミッチェル・ラングレン、フィリップ・L・フラドキン(英語版)との共著
  • Storming the Gates of Paradise: Landscapes for Politics (2007年) (ISBN 978-0520251090)
  • The Battle of the Story of the Battle of Seattle (2009年) (ISBN 978-1904859635) - デビッド・ソルニットとの共著
  • A Paradise Built in Hell: The Extraordinary Communities That Arise in Disaster (2009年) (ISBN 978-0670021079)
    • 『災害ユートピア なぜそのとき特別な共同体が立ち上がるのか』高月園子訳、亜紀書房 (2010年、増補版2020年。ISBN 978-4750516622)
  • A California Bestiary (2010年) (ISBN 978-1597141253) - モナ・キャロンとの共著
  • Infinite City: A San Francisco Atlas (2010年) (ISBN 978-0520262508)
  • The Faraway Nearby(英語版) (2013年) (ISBN 978-0670025961)
  • Unfathomable City: A New Orleans Atlas (2013年) (ISBN 978-0520274044) - レベッカ・スネデカーとの共著
  • The Encyclopedia of Trouble and Spaciousness (2014年) (ISBN 978-1595341983)
  • Men Explain Things to Me(英語版) (2014年) (ISBN 978-1608464968)
    • 『説教したがる男たち』ハーン小路恭子訳、左右社(2018年。ISBN 978-4865282085)
  • Call Them by Their True Names: American Crises(and Essays) (2018年) (ISBN 978-1783784974)
    • 『それを、真の名で呼ぶならば  危機の時代と言葉の力』渡辺由佳里訳、岩波書店 (2020年。ISBN 978-4000237420)
  • 『シンデレラ 自由をよぶひと』アーサー・ラッカム挿画、渡辺葉訳、河出書房新社(2020年。ISBN 978-4309208107)
  • 『わたしたちが沈黙させられるいくつかの問い』ハーン小路恭子訳、左右社(2021年。ISBN 978-4865280104)
  • 『私のいない部屋』東辻賢治郎訳、左右社(2021年。ISBN 978-4865280463)
  • オーウェルの薔薇』川端康雄・ハーン小路恭子訳、岩波書店(2022年。ISBN 978-4000615662)

脚注

  1. ^ Caitlin D. (2014年9月4日). “Why Can’t I Be You: Rebecca Solnit” (英語). Rookiemag.com. p. 2. 2015年4月26日閲覧。
  2. ^ Caitlin D. (2014年9月4日). “Why Can’t I Be You: Rebecca Solnit” (英語). Rookiemag.com. p. 1. 2015年4月26日閲覧。
  3. ^ Leilani Clark (2012年4月11日). “Rebecca Solnit's reimagined literature” (英語). Bohemian.com. 2015年4月26日閲覧。
  4. ^ Heidi Benson (2004年6月13日). “Move Over, Joan Didion / Make room for Rebecca Solnit, California's newest cultural historian” (英語). SFGate.com. 2015年4月26日閲覧。
  5. ^ “Meet Our Alumni” (英語). Berkeley.edu. 2010年6月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年4月26日閲覧。
  6. ^ “Rebecca Solnit” (英語). TUPress.org. 2015年4月26日閲覧。
  7. ^ a b Astra Taylor. “Rebecca Solnit” (英語). Bombmagazine.org. 2015年4月26日閲覧。
  8. ^ Tom Engelhardt. “Rebecca Solnit” (英語). TomDispatch.com. 2015年4月26日閲覧。
  9. ^ Rebecca Solnit (2009年9月23日). “A Paradise Built in Hell: The Extraordinary Communities That Arise in Disaster” (英語). Powells.com. 2015年4月26日閲覧。
  10. ^ “Rebecca Solnit” (英語). OccupyLove.org. 2015年4月26日閲覧。
  11. ^ “All Past National Book Critics Circle Award Winners and Finalists” (英語). BookCritics.org. 2015年4月26日閲覧。
  12. ^ “J. Anthony Lukas Prize Project” (英語). Harvard.edu. 2015年4月26日閲覧。
  13. ^ Rebecca Solnit (2008年4月13日). “Men who explain things” (英語). LATimes.com. 2015年4月26日閲覧。
  14. ^ Lily Rothman (2012年11月1日). “A Cultural History of Mansplaining” (英語). TheAtlantic.com. 2015年4月26日閲覧。

外部リンク

  • 2012年、60分。著書「Infinite City: A San Francisco Atlas」について (英語) - The Kansas City Public Library
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