クモ膜

脳: クモ膜
脊髄と脊髄膜
頭蓋骨頭頂部の断面、髄膜などの構造が示されている。
名称
日本語 クモ膜
関連構造
上位構造 髄膜
関連情報
NeuroNames ancil-561
MeSH Arachnoid
グレイ解剖学 書籍中の説明(英語)
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クモ膜蜘蛛膜、くもまく、arachnoid mater)は、脊髄を覆う3層の髄膜のうち、外から2層目にあたるものである。名は小柱の入り組んだ様子がクモ(ラテン語でarachnoid)のを思わせることから。

一番外の硬膜には密着しているが、内の軟膜との間には広い空間があり、小柱という線維の束が無数に伸びてクモ膜と軟膜をつないでいる。この空間は肉眼で見ても明らかで、クモ膜下腔と呼ばれる。クモ膜下腔は脳脊髄液で満たされている。硬膜とクモ膜の間にもわずかながら硬膜下隙と呼ばれる隙間があり、硬膜下出血(英語版)血液がたまると肉眼で認められる程度まで広がる。

脳のクモ膜と脊髄のクモ膜を特に区別する必要があるときは、脳クモ膜(のうくもまく、英語:cranial arachnoid、ラテン語:arachnoidea encephali)、脊髄クモ膜(せきずいくもまく、英語:spinal arachnoid、ラテン語:arachnoidea spinalis)と呼び分ける。脳クモ膜は脳硬膜を貫いて、頭蓋内の静脈洞にクモ膜顆粒(パッキオーニ小体)と呼ばれる突出を作っている。クモ膜顆粒はクモ膜下腔の脳脊髄液がクモ膜を通過して静脈血に吸収される場所と考えられている。

硬膜軟膜と同様、脊髄クモ膜は脊髄神経の根を包んで脊柱管の外に出る。脊髄神経脊髄神経節を作り前枝と後枝に分かれた先にもクモ膜は続いているが、その部分は神経周膜(英語版)と呼ばれる。

参考画像

  • 頭蓋骨、髄膜の構造
    頭蓋骨、髄膜の構造
  • 頭皮断面の構造
    頭皮断面の構造

参考文献

  • Werner Kahle、長島聖司・岩堀修明訳『分冊 解剖学アトラスIII』第5版(文光堂、ISBN 4-8306-0026-8、日本語版2003年)

関連項目

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外部リンク

神経解剖学: 脊髄
脊髄神経

背側後根神経節後枝) - 腹側前根前枝) - 交感神経幹 - 交通枝(灰白交通枝、白交通枝)

灰白質/レクセドの層

後角(背核、ローランドの膠様質、固有核) - 側角 - 前角 - 中心管/中心膠様質

白質
体性感覚/上行

後索/後索・内側毛帯路: 触覚・固有覚: 薄束 - 楔状束
側索: 固有覚: 脊髄小脳路(背側脊髄小脳路、腹側脊髄小脳路) - 温痛覚: 脊髄視床路(外側脊髄視床路、前脊髄視床路) - 後外側路 - 脊髄視蓋路

運動/下行

側索: 皮質脊髄路(外側) - 錐体外路系(赤核脊髄路、オリーブ脊髄路)
前索: 皮質脊髄路(前皮質脊髄路) - 錐体外路系(前庭脊髄路、網様体脊髄路、視蓋脊髄路)

周囲

硬膜外腔 - 硬膜 - 硬膜下腔 - クモ膜 - クモ膜下腔 - 軟膜

その他

歯状靱帯 - 脊髄円錐 - 馬尾 - 終糸 - 頸膨大 - 腰膨大 - 前正中裂

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