アカヒレタビラ

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アカヒレタビラ
雌雄のアカヒレタビラ。仙台うみの杜水族館飼育展示個体。
保全状況評価[1]
絶滅危惧IB類(環境省レッドリスト)
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
亜綱 : 新鰭亜綱 Neopterygii
上目 : 骨鰾上目 Ostariophysi
: コイ目 Cypriniformes
上科 : コイ上科 Cyprinoidea
: コイ科 Cyprinidae
亜科 : タナゴ亜科 Acheilognathinae
: タナゴ属 Acheilognathus
: A. tabira
亜種 : アカヒレタビラ A. t. erythropterus
学名
Acheilognathus tabira erythropterus
R. Arai, Fujikawa & Nagata, 2007
和名
アカヒレタビラ

アカヒレタビラ(赤鰭田平、Acheilognathus tabira erythropterus)は、コイ目コイ科タナゴ亜科タナゴ属に属する淡水魚の一種である。亜種名は「erythro:赤い、pterus:鰭」を意味し、本亜種の鰭の色に由来する[2]

形態

  • 側線は完全で、側線鱗数は33-38枚。全長は約10cm前後。タナゴ類の中でも体高は比較的高い場合が多く、背鰭不分岐軟条3本と分岐軟条が8〜10、臀鰭不分岐軟条3本と分岐軟条は7〜10である。[3][3]

繁殖期のオスはキタノアカヒレタビラミナミアカヒレタビラ[4]よりも背中側の青緑色が強く発色する。鰓蓋の色は青紫色が強い。背鰭と臀鰭はキタノアカヒレタビラほどではないが赤色も濃く染まり、最盛期には臀鰭の縁は白色、腹鰭と尾鰭のくびれも赤色が入る。

よく似た亜種

よく似た亜種として、「キタノアカヒレタビラ」、「ミナミアカヒレタビラ」があるが、キタノアカヒレタビラやミナミアカヒレタビラと異なり流水性の傾向が強く、閉鎖的な溜池では基本的に再生産が出来ないこと、卵の形が鶏卵形であること、ミナミアカヒレタビラと違い稚魚の背鰭には黒班が基本的に認められないなどの違いがある。

生態

遺伝的に大まかに東北地方太平洋集水域と関東地方の2系統がある。

雑食性で、小動物や付着藻類などを食べる[5]

主に湖沼や流れのある河川や用水路などに生息し、完全な止水は好まず基本的に閉鎖的な溜池では再生産はできない。[3][6]水草の近くのような物陰を好み、比較的深場に棲む。[2]

繁殖期は4-6月で、最盛期は5月。マツカサガイカワシンジュガイのような流水性の淡水二枚貝に産卵する。霞ヶ浦ではイシガイを利用していた。

分布

関東地方と宮城県、岩手県にかけて分布し、埼玉県[4][4]神奈川県では確実な記録はないとされる。既に群馬県東京都では絶滅し、千葉県からも近年は確実な記録がない。現在、関東地方において茨城県霞ヶ浦水系栃木県の一部水系以外にはまとまった生息地は残っておらず、かつて多産した霞ヶ浦では外来種による捕食や競合、環境変化により絶滅寸前まで減少している。現在、岩手県以外の生息が確認されている県では全て絶滅危惧Ⅰ類に指定されている。



青森県の一部水域にも生息するが、国内外来種である[5]

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ “アカヒレタビラ”. 日本のレッドデータ検索システム. 野生生物調査協会・Envision環境保全事務所. 2020年11月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月18日閲覧。
  2. ^ a b 佐土、松沢(2011), p. 21.
  3. ^ a b c 赤井ほか(2009), p. 42.
  4. ^ a b c 佐土、松沢(2011), p. 20.
  5. ^ a b “アカヒレタビラ 侵入生物DB”. 国立環境研究所. 2020年11月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月11日閲覧。
  6. ^ 赤井ほか(2009), p. 45.

参考文献

  • 赤井裕、秋山信彦、上野輝彌、葛島一美、鈴木信洋、増田修、藪本美孝『タナゴ大全』エムピージェー、2009年、pp. 42,45-47頁。ISBN 978-4-904837-08-5。 
  • 佐土哲也、松沢陽士『タナゴハンドブック』文一総合出版、2011年、pp. 20-21頁。ISBN 978-4-8299-8100-9。 

関連項目

外部リンク

  • FishBase